夫がクリニックのために買ってくれた本。みんなで回し読み中です。

料理人の話ですが、どんな仕事にも通じます。

55年バーをやっているマイクさんの名言が思い出されます。

(どの仕事も)結局ね、人対人でしょ?それしかないんだから。(重要なことっていうのは共通しているということ)

『ひとつひとつの工程を丁寧にクリアしていなければ、大切な料理を当たり前に作ることができない。大きなことをやろうとしていても、ひとつずつの行動が伴わないといけない。p17』

→その通りですね。丁寧な積み重ね。心します。

『やりすぎるとはいっても、何も悲しいことはないはずです。料理をやり続けることは、ただ単に自分のためなのですから。誰に頼まれたことでもない。なりたい自分になるためにやっていることです。p37』

→熱い!私も臨床を、勉強を、愛を持った行動をやり過ぎるようにします。

『「きっと、粗雑な扱いをしてもらいたくないんだなぁ」「大事に育てられたこの野菜は、こうなりたいんだろうなぁ」そうやって自分なりに感じてお皿に盛るようになるわけです。p71』

→素晴らしい。常に目の前のものに対して敬意。食材も本当に幸せでしょう。

『それに引き換えぼくから何ができるかというと、丁寧に扱うという感謝の念しかない。作り手の感謝のエッセンスが料理なのだと思います。太陽が降り注いですくすくと育ったものに対して、感性やインスピレーションや経験をぜんぶ一緒くたにして、感謝を示したい。…「笑顔で麻薬を注入し続けているような食品」が増えてきている現実もよくわかるので、いろいろなことを思ってしまいますよ。p72,73』

→感謝。究極感謝。これから判明されるだろういちばん強いエネルギー、愛と感謝。それがあれば全ての無限のエネルギー、無限の可能性を生かせるだろうと思います。

とある認知症の方がおっしゃった、とてもありがたい話。

「先生ね、憤慨っていうのは批判でしょ。そういうのいけないことだとわかりました。感謝が大事ですよ。感謝するとね、心が綺麗になって、何でも心の中にすっーと入れられるんです。そうするとね、相手のことが本当に理解することができるんですよ。」

私はこれを聞いた時涙が出そうになりました。

認知症の状態であってもこのような尊いこと、人間の真理について話すことができること、真に感動しました。

と同時に神様が私に心しろよとこの方を通じてのメッセージをよこしたのではと思いました。

偉大、感謝。

『選ばれた人は、多くの人のために働かなければならない。フランスで会った一流の料理人は、いつもそのお店の誰よりも働いていました。だからエースであり、トップであるのです。p82』

→ガクっときました。何で私が?ではありません。私だからこそ働く!医師というのはそういう要素ありますよね、応召の義務もありますしね。改めてクリニックの誰よりも働こうと心に誓いました。

『そして、とてつもなく清潔なお店でした。チリひとつありません。もう、いるだけで気持ちがいいのです。p88』

→ここから如何に掃除が重要か、続きます。

『いつも嬉しそうに、楽しそうに仕事をしていました。姑息さもない。表も裏もまったく変わりがない。…世俗的なところがなく、レストランを通して社会奉仕をやっているようでした。…オーナー本人がやっていることといえば、一日中掃除をしている…ほとんど掃除しかしていない。p90,91』

→レストランを通して社会奉仕…

当然当クリニックもそうあるべき、いやそうありたいと思います。そして一日中掃除、マザーテレサもそうですが、それが人間の鏡だと思います。

当然私もそうありたいと思いますので実践します。

『大切なのは、簡潔であり、清潔であり、人間性があるということです。「整理整頓がなされていることは、仕事がきちんとなされるための基本なのだ」ということが、このお店に来てよくわかった。乱雑な厨房からは、乱雑な料理しか生まれない。大声でわめき立てる厨房からは、端正な料理は生まれない。最初は掃除の回数が多いことに驚きました。仕事が一段落したら、いつも掃除をしているのです。…つまり1日5回の掃除です。それ以外にも、日頃できない細かな掃除が並行しているのです。仕込みをしているか、掃除をしているか、というくらいだった。p92,93』

→私も診察をしているのか、掃除をしているのかというくらいでいきたいです。整理整頓ができているクリニックでの診察を是非とも体験してもらいたい!!!乱雑な診察室からは、乱雑な精神療法しか生まれない…痛い…いや痛がっている場合ではない!

『掃除をすることは、料理人としての誇りを保つための最低条件であると考えています。…汚い環境では、最後まで邁進するパワーすら出てこないと思う。そして絶えず汚い環境で育ったしまえば、後々クリアな環境に馴染むこともできない。そして、清潔度は毎日やらないと保てないものだから、貯金しておかない。愛情や信頼と同じですね。その意味でも料理を毎日やり続ける姿勢にとても近いのです。同業者に、「どうしたらそんなに調理場が綺麗にできるのですか?」と訊かれることもあります。だけど、毎日やるという以外にないのです。汚す速度よりも磨く速度を上げていけば汚れないというだけですね。…ゴミを投げ捨てる人に注意するのではなく、自分に「ゴミを拾う」という仕事を与えてくれたと思って拾う…そういう意識を持っていれば、きれいが当たり前ですから、汚くなるはずがない。リーダーが抑圧的にきれいにしろというのでは効果はないでしょう。自然と「きれいなのが当然」という環境を作るのが、リーダーの務めではないかと思います。…オーナーのものの扱いがどれも丁寧だから、誰もが見習う。しょうがなく従うのではなく、見習いたくなるのです。p98,99』

→心にくる…心にくるというのはこういうこと。私もスタッフに氣づいたら掃いといて!なんて言ったことがあります。クリニックのリーダーとしてきれいなのが当然を私がつくるべきでした…。悔い改めます。雑な行動も丁寧にします。

『やりすぎくらいが当たり前でしょう。それを常識にしなければ、水準を守ることができない。だって、「これが究極の料理だ」というひとつの回答があるとは考えられませんから。アイデアを思いついて、やってみて、過不足を反省する。間違えたことに気づいたら、もう一度やってみる。ノロノロトロトロとした道のりでも構わないから、とにかく前日とは違った組み合わせを試していきたいと思っています。p116』

→毎日変化させ生きる柔軟性、素晴らしいです。私もそのように生きます。

『子どものように「これを作りたい」と夢を描き、大人の彼がひとつひとつ実現していく。…彼は、やっていることがすごく静かでした。ガチャガチャしていないというか、何もかも手に吸い付くようにする。ほとんど表情は変えない。目は手にはりついているかのようでした。他の人とは明らかに違う手つきだった。いいアイデアを無理なく具現化していく姿は輝いていた。静かなる者は健やかに行く。健やかなる者は遠くまで行く。p118』

→これも心にきますね。本当に自分の思いに集中して生きればその人は筋が通って静かにスッキリと見えるのですね。

『資本がないからというのは言い訳に過ぎない。アイデアがあればみんなが愛してくれる。p120』

→あ、お金がないからできません。それは言い訳にすぎないと。心します。

『生命力が溢れるように仕事をしていれば…仕事をしていても歯を磨いていても遊んでいても、常に同じ意識を保てるのです。しかも楽しい。p163』

→私の課題は楽しさを思い出すということです。逆を言えばまだまだこの生命を生かせるということです。

『火の使い方がわかっている人には、「寝たふりをしながら素材に徐々に火を当てていく」というように、素材が疲れないような加熱料理をします。…9割の火であぶってしまうと、料理はもう魚の抜け殻になってしまう。…例えば、「テーブルの上を拭いてね」といっても、パーと拭くだけで、拭きあとが残っていても「ハイ、拭きました」となる人と、どこが拭いてあるのかわからないけれども、結果として美しくなっている人がいるでしょう。ひとつのことをやってもこれほど違う。p215』

→これはどんなことにも応用できますね。精神療法もそう。

そして今掃除にハマっているのでこの例えはすごく身にしみました。

『最高のうまみを出してあげることが、素材に対していちばん丁寧で、敬意を払うことになる。p219』

→とても反省しました。私はお会いしている方の最高のうまみを引き出せているだろうか。

なんということでしょう。

料理人の方の話ですけど自分が利用できるエッセンスだらけじゃないですか!!

私はこの本を読んで、またこの素敵な部分の抜粋を改めて読んで、本当に悔い改めようと心に誓いました。

必殺掃除人で生きていこうと思います。

 

 

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